FS事業(事業化可能性の調査)

職人技・教育/コンサルタント業/土木・建設

実施概要

支援先中小企業のニーズ・課題

これまで、街づくりにおける街頭調査(交通量調査等)は、人が手動カウンターで人数をカウントして計測する形が一般的であった。行政等の交通量調査は街づくりの基本であるが、人手(コスト)がかかるため、必要なポイントを細かく計測するには、これまでの人に頼った方法では十分でなかった。AIカメラが普及し、調査人員の確保も困難になりつつある中、街頭調査にて電子機器を用いた新たな手法の開発をユーザー企業は求めている。
一方で、電子機器・情報機器を街頭調査で道路空間にて利用する場合には、電源を引き込むための工期や費用の問題もあり、街頭や道路で電子機器を長時間使用するために十分な電源を確保することが課題である。

課題の解決方法

株式会社Andecoは、これまで小売・リテール向けにバッテリー付きカートを開発してきた。また一方で、エリアマネジメント向けにロボットを用いたシステム実証や管理用のシステム開発を行ってきた経験もある。
今回、ユーザー企業である総合調査設計は、土木・建設コンサルタントとして、行政の街づくり調査や計画策定を数多く実施してきており、今後の調査における省力化ニーズや、AIやIoTを用いた新たな調査手法の構築を求めている。そこで、小売・リテール向けのバッテリー付きカートを応用し、道路空間等の電源確保が困難な場所で、AIカメラ等の電源を要する電子機器を用いた調査機器及び方法を開発する。
車輪付きのカート型とすることで、調査時のセットアップや撤収を容易にし、短期間の調査でも利用可能な仕組みを構築する。カートは車椅子サイズに準拠した大きさで、エレベータを用いた建物内の移動なども可能である。
AIカメラでは、人数カウントだけでなく、マスクの着用率や衣服の色なども計測可能であり、従来型の調査手法では、捕捉しきれなかったデータを取得できる。それらのデータから、これまでの調査方法だけでは得られなかった街の実態や新たなインサイトを見つけることを目指す。
バッテリー付きカートのベース車両は、街づくりの調査だけでなく、工場や病院を含めて、スポットでの電源を必要とするAI機器や電子機器、IoTセンサにも利用可能である。電子機器を用いる上で、手軽に使えつつ、大容量で可搬性が良いものは、常に求められており、工場や病院等での生産性の改善に貢献する。

FS実施内容

1.実施内容
電源確保が容易でない場所かつ、短期間のスポット調査のため、電源引き込み工事などを行わない状況を基本シチュエーションとするため、電源一体型カートでの運用実証を実施する。カートの操作性、一体型の利便性などを検証した。
人流計測には、街づくりにおける交通量調査の状況下で、AIカメラや赤外線センサを用いた調査手法及び機器セットを構築した。比較条件として、人による計測も、同時に実施した。
これらの新しい手法の有用性(データ取得の精度、種類、合理的効果)や定性的なメリットの整理、普及を含めた課題についてFSを実施した。

2.機器構成
① バッテリー付きカート(汎用性の高い台車型)
② エッジAIカメラ(ソフトウエアは、オープンソース系画像処理ソフトを活用)
③ 赤外線人流センサー

3.検証方法
① 計測データの精度・誤差・測定の特徴の把握
② 計測機器の設置方法の利便性
③ 電源カートを含めたトータルのパッケージシステムとしての扱いやすさ

得られた知見・成果ならびに事業化への課題

  • 1.人については、歩行者が常に歩いている状態であれば、手動計測に近い値が計測できることが明らかとなった。一方で、行列などで動きがない場合は、同一人物を何度もカウントしてしまうため、計測精度が落ちる課題も明らかとなった。車両についても同様であった。
  • 2.AIカメラについてはカメラの設置方向、画角を工夫することで、計測精度を高められる。今回の計測では、道路に対して垂直に設置したが、水平方向にするなどで、放置車両等が写り込まない画角にすることで、計測精度を高められると考える。
  • 3.IoTセンサーについては、センサーの特性上3mを超えると計測できないこと、また一定の計測できないポイントがあるようだが、手動計測と増減の傾向が概ね一致したため、補正係数をかければ手動計測に近い値が得られることが明らかとなった。
  • 4.カメラやセンサーの設置について、今回は暫定的な設置のため、安全性への配慮と毎日カートを移動させるという点から、1.5m程度の高さに設置した。そのため、通行量が多くなると、人や車両の重なりから計測精度が落ちていると考えられる。本設置時には、人や車両の重なり、高さ、画角を調整する必要がある。
  • 5.自動車の計測に関しては、路上駐車や車庫に駐車した車両が、画角に入ると、同一車両を計測しつづけるため、画角及び設置高さの工夫や、AIソフトウエアの改良が必要であることがあきらかとなった。
  • 6.赤外線センサーでは、計測範囲が目視できない欠点があるが、AIカメラは計測範囲が目視確認できるため、スポット調査での設置性はよい。
  • 7.各機器が防水仕様ではないため、雨天時の計測は現時点では困難であるため、防水ケースや雨天対応できるカートづくりが必要となる。

FS実施後の状況、今後の展望

現時点の計測精度では、すぐにスポット調査で使いこなすには難しいため、街づくり関連での民間ベースでの調査で、人による調査を基本としながら、AIエッジカメラや、センサー類を利用した調査を組み合わせて、実績を積み重ねていく。
行政向けについては、民間ベースでの計測実績を積み重ねながら、利用できる実例、実績を紹介しながら、行政での利用(仕様書への反映)につなげていく。
AIエッジカメラは、筐体の屋外対応(雨天対応)について、メーカーに防水ケースなどの販売予定などを確認している。

SIerとしてFS実施後の事業展開

バッテリー付きカートについては、一定の効果が見えたため、ベーシックな調査用カートとして、雨天対応をふくめて、商品化を検討している。
AIエッジカメラ側は、オープンソース系ソフトウエアを活用しつつ、低コストで精度を向上させるための集計方法や、外れ値、異常値を排除するような統計的なデータ処理についての研究開発を継続的に行う。
現在、堺市大仙公園でのパークPFI事業にて、常設型での赤外線センサーを活用した人流計測を開始した。AIエッジカメラを増設して、属性も把握する予定である。これらの測定データを組合せて、場の運営(施設マネジメント)とを関連させるための仕組みづくりを進めている。

その他特記事項

本FSの結果を応用し、電力会社のアクセラレータ-にて、電柱とAIエッジカメラを組合せたサービスを提案した結果、採択をうけて今後実証実験を実施する予定。

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