FS事業(事業化可能性の調査)
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- ガラス管製造における引きのばし技術のDXによる製造改革
職人技・教育/製造業/ガラス管製造
実施概要
支援先中小企業のニーズ・課題
株式会社赤川硬質硝子工業所は、1951年創業の老舗ガラス製造メーカであり、原料調合、溶解、成形まで一貫して生産ができることを特徴にし、特殊なガラス製品の多品種少量生産を行っている。今回対象となるワークは、おおよそφ5~φ20mmの工業用ガラス棒である。
製品のガラス棒
当該ワークである工業用ガラス棒は、ガラス職人が溶融炉から高温のガラス原料をポンテ(棒)につけて、それを歩いて引き延ばすことによって製作している。この作業は非常に高度な熟練技術が必要で、現状は熟練したガラス職人が行っている。
しかし、製品の精度を出すのに何度もトライが必要で歩留まりが悪く、精度が出しにくいという課題がある。また、職人の確保や育成も困難であり、事業の安定的継続にも課題がある。
課題の解決方法
課題を解決する方法として、現在は職人が行っている歩いて引き延ばす作業を、将来、自動移動ロボットを開発して職人技術の伝承、自動化を目指す。その結果、品質の安定化、製品精度の向上が見込まれ、コスト削減が実現でき、なおかつ事業の安定的持続化が期待できる。
FS実施内容
本案件は令和2年度のF/S支援事業において、高温(1000℃近く)で透明体であるガラス棒を非接触で計測するためのセンサの選定を行って実際にその測定実験を行った。
令和3年度の地域産業デジタル化支援事業ではその知見を元に、ガラス管径測定システムを構築して、職人技術の見える化に取り組んだ。
ガラス管径測定システム
■ガラス管径測定実験
用意したセンサおよびセンサ治具を使ったガラス管径の測定実験を行った。
測定実験の際のガラス管を引く作業は、以前より赤川硬質硝子工業所で自社開発していた移動カートを用いて行った。
測定実験の様子
■ガラス管径測定ソフトウェア
ガラス管径のリアルタイム測定値を職人が一目で視認できるようにガラス管径測定ソフトウェアを開発した。
ガラス管径測定ソフトウェアの画面
ガラス管径測定ソフトウェアの調整の様子
得られた知見・成果ならびに事業化への課題
令和2年度のF/S支援事業の結果、ガラス管を引き伸ばす際の上下動によってセンサの測定範囲を逸脱してしまうことがわかったが、それに対して令和3年度の地域産業デジタル化支援事業ではセンサを縦置きしてその上下動の影響を受けないようにした。結果、安定して測れることがわかった。
また、ガラス管径測定システムの構築により、職人がリアルタイムにガラス管径を視認でできるようになったので、今後の生産に活かすことができる。
FS実施後の状況、今後の展望
今回のセンサ治具によりガラス管径を引き伸ばす際の上下動にも対応して安定してガラス管径を測定できることがわかった。また、ガラス管径測定システムの構築により、職人がリアルタイムにガラス管径を視認でき、生産の歩留まり向上が見込める。
今後は、測定を重ねてリアルタイム計測値と製品仕上がり径の相関を導き出し、その作業の可視化を進める。その後、移動ロボットの構想へとつなげていき、本作業の自動化を実現することで、歩留まりの向上によるコスト削減、品質の向上、安定化が見込まれ競合他社の差別化や従来顧客以外への販路の拡大の余地が期待される。また職人の確保の困難さから解放され、事業の安定継続が可能となる。
※令和3年度 地域新成長産業創出促進事業費補助金(地域産業デジタル化支援事業)にて取り組んだ事例です。
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