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~前編~第1回 アバター技術社会実装情報交流会(12/16開催)レポート
イベントレポート2022.01.23
サイバネティックアバター※による誰もが自在に活躍できる社会(アバター共生社会)の実現に向けて、第1回の情報交流会が開催されました。その内容についてレポートします。
※遠隔操作ができる「身代わりロボット」
●プログラム
12月16日(木)開催
- 16:00~:プロジェクト概要紹介
- 16:30~:研究開発中の技術紹介、実証実験解説
- 17:00~:参画企業発表
- 17:10~:参画企業発表
- 17:20~:ディスカッション
●プロジェクト概要紹介
「サイバネティックアバター共生社会企業コンソーシアムの紹介/開発する技術と研究開発スケジュール」
<登壇者>
国際電気通信基礎技術研究所 インタラクション科学研究所所長
アバター共生社会PJ研究開発項目7(実社会実証実験)課題推進者
宮下 敬宏 氏
アバター共生社会PJ研究開発項目7(実社会実証実験)課題推進者の宮下 敬宏 氏に、プロジェクトの概要についてご説明いただきました。
本プロジェクトでは、内閣府が推進しているムーンショット型研究開発事業の一環として、サイバネティックアバターと呼ばれる、遠隔操作ができる「身代わりロボット」を使って、誰もが自在に活躍できる社会(アバター共生社会)の実現を目指されています。
▼国立研究開発法人科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業 プログラム紹介 ムーンショット目標1
https://www.jst.go.jp/moonshot/program/goal1/index.html
研究開発プロジェクト「アバター共生社会」が目指す社会像としては、大きく2つ。
ひとつめは、高齢者や障害者を含む誰もが、多数のサイバネティックアバターを用いて、身体的・認知・知覚能力を拡張しながら、常人を超えた能力で様々な活動に自在に参加できるようになる。
もうひとつは、何時でも何処でも仕事や学習ができ、通勤・通学は最小限にして、自由な時間が十分に取れるようになる。
このように、自分が複数存在することで、人の生産性やワークライフバランスの向上に大きく寄与し、ライフスタイルの根本的な変革を起こすことが期待できるそうです。
サイバネティックアバターを通じて、現実世界とインターネット世界を行ったりきたりできるような社会が実現できれば、距離、時間、身体など様々な制約が取り払われ、社会と繋がる手段が増え、全ての人々が条件や環境に応じて活躍できる社会を実現できるのではないかという狙いから、その実現に向けてサイバネティックアバター基盤構築や企業コンソーシアム連携による実証実験を進めてられています。
現在、基礎的な実験として、人が両腕を使っている状態で、背後に置いてあるアンドロイドの腕を操作し、脳が3本の腕を同時に使うことができるのかというテストを行われているそうです。
(結論から言うと、訓練すればできるようになるそう。)
また商業施設で、1人のオペレーターが別場所から4台のロボットを同時に動かし、お客様に施設案内をするという実験も行われてたそうです。検証結果は、ロボットがある程度自動化されていれば、操作と案内が可能になるというものでした。
こうした実証実験や技術開発を進めていくことで、1人で同時に数台のロボットを扱うことは可能だという検証結果に至ったそうです。
また、2025年開催の大阪関⻄万博において、屋内外の様々な場所で、移動型サイバネティックアバターを用いて、国内外の人々が万博体験(万博展示見学、アクティビティへの参加、参加者とのコミュニケーションなど)に参加する実証実験に取り組む予定とされています。
これを契機に、サイバネティックアバターを利用することがニューノーマルの社会で今以上に活力のある未来が実現できることを、世界にアピールしたいと熱く語っておられました。
このアバター共生社会の実現に向けて、企業連携による実証実験を取り組むにあたり、企業コンソーシアムを立ち上げその中で分科会を設置し、各分野でサイバネティックアバターを導入するとどのような変革が起こるのか、本プロジェクトの研究者とともにサイバネティックアバターをサービスインするための仮説やコンセプトの議論を行っていくそうです。
まずは、ヘルスケア分科会からスタートし、社会実装に向けてプロジェクトを推進していくと意気込んでおられました。
▶︎「ヘルスケア分科会」会長の伊藤氏の登壇内容は、レポート後編にて
https://www.jst.go.jp/moonshot/program/goal1/index.html
●研究開発中の技術紹介、実証実験解説
「アバターを活用した対話サービス」
<登壇者>
大阪大学大学院基礎工学研究科 准教授/
アバター共生社会PJ研究開発項目1(存在感・生命感CAの研究開発)課題推進者
吉川 雄一郎 氏
アバター共生社会PJ研究開発項目1(存在感・生命感CAの研究開発)課題推進者の吉川 雄一郎氏に「アバターを活用した対話サービス」と題して、発達障がい者のコミュニケーション支援や商業施設でのおもてなしのサービスなど、様々なフィールドでの対話型ロボットの可能性を探る取り組みについてご紹介いただきました。
本研究では、人間が直接対面して対話する代わりに、人と対話するロボットを介して対話サービスを提供することは、単に人間がその場に赴く必要がないというメリットだけでなく、対話相手の影響を受けずに一定の関わりが可能になることや、人間と対面することによる負担を対話相手に感じさせにくくなる可能性があることなど、多様なメリットについてご説明いただきました。
こういったメリットは、特に自閉スペクトラム症(ASD)などのコミュニケーションの質的障がいのある方々やその支援者に対して有効に働くのではないかとの狙いから、様々な実証実験を行われています。
また、自己開示に関わる事柄としてネガティブな相談は、人間よりもロボットの方が相談しやすいといった検証結果も出ており、こうした活用方法の幅広さに期待が高まっているそうです。
このように「自律型ロボット」と「遠隔操作型ロボット」のそれぞれのアプローチから実証実験を行われており、次課題では、自律型と遠隔操作型のロボットを組み合わせ、高いレベルの接客を少数オペレータで実現していくことが可能かを検証していくそうです。
▶︎~後編~ 第1回 アバター技術社会実装情報交流会(12/16開催)レポート
https://avatar-ss.org/index.html
<参考>
ムーンショット型研究開発事業
「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」
https://www.jst.go.jp/moonshot/program/goal1/index.html
※本プロジェクトに参画したい企業様団体様、お待ちしています。
株式会社 国際電気通信基礎技術研究所
https://www.atr.jp
大阪大学大学院基礎工学研究科
https://www.es.osaka-u.ac.jp/ja/