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~後編~第1回 アバター技術社会実装情報交流会(12/16開催)レポート

イベントレポート2022.01.23

第1回 アバター技術社会実装情報交流会

サイバネティックアバター※による誰もが自在に活躍できる社会(アバター共生社会)の実現に向けて、第1回の情報交流会が開催されました。その内容についてレポートします。今回は後編です。
※遠隔操作ができる「身代わりロボット」

▶︎前編はこちら
https://iroobo.jp/magazine/report220123/

●参画企業発表

「介護分野のDXで実現する次世代介護サービスの創出」

<登壇者>
サイバネティックアバター共生社会企業コンソーシアム「ヘルスケア分科会」分科会長
BCC株式会社 代表取締役(アイローボ正会員)
伊藤 一彦 氏

サイバネティックアバター共生社会企業コンソーシアム「ヘルスケア分科会」分科会長に就任された伊藤氏に、自社の介護レクリエーション事業と介護現場への先端技術導入支援についてご紹介いただきました。

介護レクリエーション事業では、介護現場で高齢者を支える方々を支援するサービスや、自治体や企業連携によるヘルスケア分野の事業化支援を行われています。
この事業での介護現場でのネットワークや介護現場でのノウハウを活かし、ヘルスケア分野でのDXの実現を目指されています。

さらに、本プロジェクトの分科会を通じて、サイバネティックアバターの技術をどのように介護現場で役立てられるかを分科会メンバーと議論しながら、共に社会実装に向けて邁進していきたいと語っておられました。

bCCが目指す姿

先端技術導入支援については、コミュニケーションロボットを活用し、高齢者QOL向上につながる介護レクリエーションプログラムを開発・事業展開をサポートした事例や、音楽療養コンテンツへの介護施設ニーズ調査等により、介護施設での事業展開について共同で取り組まれた事例などをご紹介いただきました。

中でも、2021年秋に開始した介護レクリエーションのオンライン提供サービスで行ったイベントでは、1000を超える事業所の視聴があり、高齢者数としては2万人を超える視聴があったそうです。
新型コロナウイルスの影響で介護施設のネット環境整備が徐々に広がりつつある中で、今後ますますこうした介護分野でのオンライン提供サービスには期待が持てると仰っていました。 これを契機とし、サイバネティックアバター技術や環境を介護分野に広げていきたいと熱く語っておられました。

一方で、オンラインといっても、双方向コミュニケーションはまだまだ難しい状況にあり、今後は本プロジェクトを通じてロボットとの双方向でのコミュニケーションを展開し、ソリューションの可能性を探っていき、高齢者のQOLの向上に寄与したいとも話しておられました。

よしもとお笑い介護レク〜オンライン〜

よしもとお笑い介護レク~オンライン~
https://www.value-press.com/pressrelease/280390

●参画企業発表

「教育分野でのコンテンツ開発、就労支援事業での取り組み紹介」

<登壇者>
株式会社キッズプロジェクト 代表取締役(アイローボ正会員)
株式会社TECTETC 取締役
小林 一博 氏

小林氏には、教育分野でのコンテンツ開発のご紹介と就労支援事業での取り組みについてご説明いただきました。この両事業において本プロジェクトの可能性を模索し、最先端でユーザーライクなサービスの検討を進めていくそうです。

まず、教育分野でのコンテンツ開発については、コロナ禍で前倒しになったGIGAスクール構想に併せて学校現場でのICT化が急速に進行し、ハード・ソフトウェア共に短期間での準備が求められている中で、どのような取り組み・サービスを行なっているかお話していただきました。

GIGAスクール構想に伴う学校用プログラミングツール

GIGAスクール構想に伴う学校用プログラミングツール
https://kids-project.jp/activity/product_22

認知機能強化トレーニングに関するウェブアプリ

認知機能強化トレーニングに関するウェブアプリ
https://kids-project.jp/activity/product_23

就労支援事業では「不自由さを抱える人が夢を描き、自らの力でその実現を目指せる社会をつくる」をビジョンに掲げ、プロジェクトを開始するそうです。

環境・今の能力・個性に捕らわれず、クリエイティブ分野のプロが講義にあたり、スキルアップから資格取得までをサポートしていくことで、個別最適化された環境下での学びを提供し、社会進出の促進サポートをしたい、との思いを語っていただきました。

●ディスカッション

<ファシリテーター>
株式会社idscope 代表取締役
細江 裕二 氏

<ゲスト>
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
精神保健指定医、精神科専門医、子どものこころ専門医、産業医
熊崎 博一 氏

参画企業がサイバネティックアバターを導入するとサービスがどのように進化するのかをディスカッションし、事業化の可能性を探りました。

株式会社idscopeは、サイバネティックアバターの基盤技術を使って、ソリューションサービスの開発を進める取り組みをされています。加えて、企業コンソーシアムの外部支援としても活動されています。

熊崎氏は、医師として活動をする一方で、研究者としてロボットを用いた発達障害者支援、精神疾患者支援を行われています。

このディスカッションでは、細江氏をファシリテーターに、民間企業代表として伊藤氏、小林氏、課題推進者として宮下氏、熊崎氏を迎え、サイバネティックアバター技術の可能性や、求められるサービスなどについて、それぞれの立場から様々な議論をしていただきました。

熊崎氏より「自閉症や認知症などのコミュニケーションの質的障がいのある方は、恐らくロボットと最も相性が良いのではないか。」という投げかけに対し、伊藤氏から「認知症の方は、施設でも若いスタッフとの会話が噛み合わない事が多い。遠隔ロボットを介して同年代の高齢者と対話する機会が持てれば、変わってくる可能性があるのではないか。」といった話があがりました。

教育・福祉分野の視点では小林氏から「対人面が困難な子供でも、ロボットを介すことでコミュニケーションの可能性が広がる。」といった話があがりました。

また宮下氏は、患者さんがアバターやロボットを利用するシーンと、医療従事者などの一般の方達がそれらを利用するシーンが想定されるため、それぞれの方々にとって適切なインターフェースは何なのか、適切なアバターは何なのか、というのが今後も研究対象・テーマになると語られていました。

それぞれの分野の知見が飛び交う、濃密な時間でした。
宮下氏は、今後は各分科会でさらに議論を深めて社会実装に向けてチャレンジしてほしい、と話されておりました。

<参考>
ムーンショット型研究開発事業
「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」
https://avatar-ss.org/index.html
※本プロジェクトに参画したい企業様団体様、お待ちしています。

BCC株式会社
https://www.e-bcc.jp

BCC株式会社 スマイル・プラス事業部
https://smile-plus.co.jp

株式会社キッズプロジェクト
https://kids-project.jp