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【レポート前編】ロボットアイデア甲子園〜大阪大会〜「ロボットって何?セミナー&見学会」
イベントレポート2022.12.08
ロボットSler認知向上のため、高校生を対象とした「ロボットアイデア甲子園」が全国各地で開催されているのをご存知ですか。
ロボットアイデア甲子園とは
高校生に、産業用ロボットの新しいアプリケーションのアイデア提案やビジネスプランを考えてもらい、そのアイデアを競う大会です。
高校生たちは「セミナー&見学会」を通じて、産業用ロボットを使用したシステムに触れ、ロボットの歴史や構造、制御などの基礎知識を学びます。こうした学びの中から、学生らしいフレッシュで斬新な発想をもって、ロボットを活用したアイデアを提案します。
また、高校生が大会に参加することで、未来の産業人材が「産業用ロボットとは何か?」「ロボットSlerって何?」など製造業や職業を知るきっかけを作る狙いもあります。
このセミナー&見学会によるアイデア提案は全国各地で行われており、各地区の大会で優秀者が輩出され、その後全国大会へ出場、最優秀者を決定します。
今回は、株式会社 HCI(iRooBO正会員)が運営するHCI ROBOT CENTERで行われた、大阪大会「セミナー&見学会」の様子をお届けします。
後編はこちら
発表会(11/26)の記事へリンク:
https://iroobo.jp/magazine/report221208-2/
●概要
日程:令和4年10月15日(土)、22日(土)
時間:13:30〜17:00 ※両日
会場:HCI ROBOT CENTER(泉大津商工会議所)
イベントの様子
●挨拶
冒頭、株式会社 HCI 代表取締役社長 奥山浩司氏から開会の挨拶がありました。
奥山氏「こんなロボットがあったらいいな。と思いついたアイデアを、素直に用紙に書いてください。この大会は、知識や技術がなくても、楽しみながらアイデアひとつで勝負ができます。純粋で面白い発想を楽しみにしています。」
また、審査委員長を務める大阪工業大学 R&D工学部 ロボット工学教授 野田哲男氏からは、アイデアの評価基準も交えた話がありました。
野田氏「アイデアに正解はありません。そう、数式のように問題に対して正しい答えがあるものではない。自由に考えてください。ただし、そのアイデアは社会課題を解決するものであること、これがポイントになります。」
アイデアの具体的なポイントはこちら。
これらは同じ割合で評価されるそうです。
社会人が新卒の際に先輩や経営から教えてもらうような内容を、高校生が取り組める内容になっています。素晴らしいですね。
①社会性
世の中に求められていること、そのサービスを必要とする人がいること。社会がどのような事に困っていて、それをどのように解決したいか。またはできるか。といった視点で考える。
②創造性
世界中の誰もまだ思いついていないこと、そして、アイデア其の物にユニークさが感じられるかどうか。
加えて「ソフトウエア」と「電気回路」が両立されていることがポイント。特にソフトウエアは非常に重要な立ち位置になっている。
③実現性
今すぐできなくてもOKだが、3〜5年後くらいには実現できているのではないかと思わせるものを。
④市場性
それを求めている人が沢山いること。お金を払ってでも欲しいと思う人が多ければ多いほど、そのアイデアの価値は上がる。
⑤アピール性
どれだけアイデアを熱く語れるか。アイデアを聞いた人が、面白い、なるほど、と納得するかどうかは重要。
●産業用ロボットセミナー(歴史・構造・制御)
挨拶と概要説明が終わったら、セミナーの時間です。
ロボット大国・日本として、その産業用ロボットの歴史や協働用ロボットの説明、半導体が不足している社会情勢などについて、奥山氏から講義がありました。
●見学
ここからはロボットセンター見学。
生のロボットが動いている様子やその特長について、現役Slerの説明を聞きました。
セミナーで得た知識を持って、実際のロボットに触れると吸収の幅が広がります。そうした狙いから、ロボットアイデア甲子園は全国各地に会場がありますが、いずれも工場やロボットセンターといった実機が置いてある場所に限って開催されています。
見学場所
HCI ROBOT CENTER: https://www.hci-ltd.co.jp/robot/robotcenter.html
HCI ROBOT ・AI LAB: https://www.hci-ltd.co.jp/robot/irex.html
●事例紹介(動画鑑賞)
実機に触れた後は、動画による現在の実用例を紹介する時間です。
業種分野を問わず、どのようなシーンでロボット技術が活用されているのか、映像を見ながらよりアイデアを研鑽していく時間になりました。
●プレゼンテーションセミナー(講義動画上映)
「良いプレゼンテーションを行うためのポイント」
講師:東京大学名誉教授 佐藤知正
これからの時代、プレゼンテーション力はマストです。アイデアをより魅力的に伝えるためのポイントを学びました。
●ロボットアイデア提案作成
様々なインプットを受けて、いよいよロボットを活用した未来イメージを考える時間です。
見学を通じて生身で感じたロボットの特長や技術を思い起こしながら、どんなロボットがあれば、社会がより良くなるのか、具体的なアイデアを創っていきます。
皆さん、真剣な表情で頭の中にあるイメージをアウトプット。
これらのアイデアは、後日回収し、審査員が厳正に審査します。そして、書類審査を通過した者のみ大阪大会の発表会に進みます。そして大阪大会の発表会で最優秀賞を受賞した1名が全国大会へ出場するという流れです。
書類審査を通過できなかった学生らのアイデアにも、審査員の評価をフィードバックします。そうすることで、学生らの深い学びにつなげる狙いです。また、甲子園という名の通り、来年も目指してほしい。そんな運営側の想いがあるそうです。
●さいごに
このように、学生たちは本企画を通じて自分たちの経験や暮らしの中から、各業界の問題点に気づき、働く人やサービスを受ける側がどのようなことに困っているのか、どうすれば喜ぶのか?という仮説を立て、実際の技術と紐づけてプランを描いていきます。
これからの時代は、どのような職業であっても、一人一人がこのようなアントレプレナーシップマインドを持った人材であるべきです。また、日本のものづくりを支える人材にこそ、そうしたマインドが育まれることが、これからの製造業界を明るくする一助になると思います。
本企画に関わる多くの企業が、そのような熱い思いを持って取り組んでいます。
スマートファクトリーを推進するiRooBOも、この取り組みを全力でサポートしていきます!
●講師
株式会社 HCI 代表取締役社長 奥山浩司 氏
・一般社団法人 日本ロボット工業会 理事
・FA・ロボットシステムインテグレータ協会 副会長
・一般社団法人HCI-RT協会(ロボット導入促進)代表理事
・ロボットアイデア甲子園 実行委員
●審査委員長
大阪工業大学 R&D工学部 ロボット工学教授 野田哲男 氏
1987年 三菱電機株式会社に入社 先端技術部総合研究所を中心に、産業用ロボット・FA加工機・自動走行など機械システムの知能化技術の研究開発に従事。
2017年より大阪工業大学に転じ、引き続き産業用ロボットを専門とする。
●主催等
主催:一般社団法人日本ロボット工業会 https://www.jara.jp
FA・ロボットシステムインテグレータ協会 https://www.farobotsier.com
共催:株式会社 HCI https://www.hci-ltd.co.jp
後援:近畿経済産業局、泉大津市、泉大津市教育委員会、大阪府、大阪府教育委員会、ソフト産業プラザTEQS(公益財団法人 大阪産業局)
●関連リンク
2021年度開催レポート(地方大会)
https://robotkoshien.jp/reports/#2021
※2021年度全国大会は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて中止。
2019年度開催レポート(地方大会/全国大会)
https://robotkoshien.jp/reports/#2019
マンガ「ロボットSIerってなんだ?!―ロボットアイデア甲子園編―」
https://my.ebook5.net/ROBOT-KOSHIEN/COMIC/
後編はこちら
発表会(11/26)の記事へリンク:
https://iroobo.jp/magazine/report221208-2/