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【Report】スマートファクトリーサミット開催―ものづくりDXの実現に向けて―

イベントレポート2022.03.31

スマートファクトリーサミット

IATCやIATC-Lab.は大阪産業局と連携しながら、昨今のDXとも呼ばれるこうした企業変革に向けて、ロボット・IoT活用など製造現場の自動化・省人化促進に取組んできました。

そして、それら取り組みを通して得られた事例や気づき、ビジネスヒントを共有すべく、スマートファクトリー化に取り組む方々が集まり、議論する1日として、『スマートファクトリーDay』が開催されました(3/18)。

そのなかで「スマートファクトリー・サミット」として実施された、オープンプログラムの様子を一部紹介します。

※スマートファクトリーDayとは?
スマートファクトリーをテーマに、産学官横断でスマート化について知見を共有し議論する、スマートファクトリーに携わる方が主役のワンデイ・イベント。第1部の「研究会(クローズド開催)」、第2部の「スマートファクトリー・サミット」(オープン開催)で構成されています。

イベント詳細

開催挨拶・基調講演

近畿経済産業局 課長 黒木 啓良 氏による開催挨拶でスタートしました。

近畿経済産業局 課長 黒木 啓良 氏による開催挨拶

その後、株式会社オフィスエフエイ・コム 角淵 弘一 氏による「変化に柔軟に対応できる国際競争力のあるDXを実現した工場モデルを探る!!」と題した基調講演がありました。

昨年6月に関連子会社として立ち上げた南相馬工場をモデルケースにあげ、競争力をテーマにDXについて紐解いていただきました。
本工場は1個から受注対応できる切削部品加工を、熟練スタッフ不在でもAI見積もりシステムやバーチャル上で加工シミュレーションし型を生成するデジタルツインを実現するなど、デジタルツールを駆使しています。それにより、コストを抑え、リードタイムを短縮し変種変量に対応しているそうです。

角淵氏は「DXはデータ活用により、会社や事業がトランスフォームして高い競争力を持つこと。」と、強く語っておられました。

株式会社オフィスエフエイ・コム 角淵 弘一 氏による基調講演

FS事業の成果事例報告

ここからは、IATCやIATC-Lab.も関わらせていただいた「スマート化による生産性向上FS支援事業/製造業のスマート化推進に向けた先進的ビジネスモデル創出事業」の成果事例報告がありました。
SIer企業が支援事業を通じて、実施した先進的なスマート化に向けた取組みについて、具体事例を交えて成果を紹介していただきました。

1.画像認識による汎用型異物検知AIに係るソリューション開発

株式会社フツパー 染谷 康貴 氏
従来のオーダーメイド型ではなく、ゴム製品における汎用的な異物を検出するAIの構築を目指した本プロジェクト。実際にどのようなアプローチを試み、得られた結果と今後の展望についてお話いただきました。

2.DXを推進するPoCが可能なスマートファクトリーのデモ・システム構築

株式会社HCI 奥山 剛旭 氏(アイローボ正会員)
前工程の生産状況により自社製品の生産が左右される状態を、遠隔監視できる仕組みを構築して、適宜状況確認できるシステム開発例を紹介いただきました。

DXを推進するPoCが可能なスマートファクトリーのデモ・システム構築に関する講演

3.製造現場における画像認識AIを活用したエラー検知連動システムの開発

株式会社Mountain Gorilla 井口 一輝 氏
製造機器の更新ができない中小企業の既存設備に対して、容易に導入可能な画像認識AIを活用したエラー検知連動システムの開発と導入検証事例を紹介いただきました。

4.山本金属が実現する独自のスマートファクトリー

株式会社山本金属製作所 山本 隆将 氏
長年培ってきた精密加工技術、計測評価技術を軸にした機械加工の高度化を実施している山本金属製作所が独自のスマートファクトリー技術を紹介いただきました。

5.食品工場における材料投入の自動化」

株式会社ブリッジ・ソリューション 坂本 俊雄 氏(アイローボ会長)
食品工場に共通の課題である前工程の原材料投入の自動化を進めるにあたって、原料袋の解体作業を軽減する装置開発事例を紹介いただきました。
▶︎FS事例をみる

食品工場における材料投入の自動化に関する講演

ロボット、AI、IoTなど、どの事例も普及が進めば確実に製造業DXに繋がるものだと感じました。また、このような技術活用を通じて、製造現場を変革したいという登壇者の熱い思いを感じました。また、専門コーディネーター 三宅 祥五 氏による解説もあり、非常に有意義な時間となりました。

課題別 全事例を見る

パネルディスカッション

パネルディスカッション

ここからは「成果事例から見えてきたスマート工場化のポイントとは?」と題して、成果事例から見えるスマートファクトリー実現のポイントを、ロボティクス分野に関して多くの研究発表をしている専門家が深堀する時間となりました。
モデレーターに、立命館大学 川村 貞夫 教授を迎え、FS事業成果報告を行っていただいた参加者の皆様とともに議論を交わしました。

途中、スマート工場を促進させるにおいて、低価格or高価格で意見が割れるシーンがあり、議論が白熱しました。
各分野の方々のそれぞれの見解をもとに、製造業の未来を明るくするには何がベストなのかを考える時間になったと思います。

パネルディスカッション1

パネルディスカッション2

SIer育成事業の取組み成果報告

Sler育成成果報告

大阪産業局 IoT/RTビジネス推進部 加味 昇氏による、関西で初の取組みとなる、6カ月間でSIer人材を育成するプログラム「SIer育成塾」の取組み成果について発表しました。

本事業に関しては、アイローボのスマートファクトリープロジェクトの一環で様々な協力をしています。徐々にこうした活動が根を張り、いずれ花開くことを胸に、今後も一緒に取り組んでいきたいと思います。

IATC & IATC Lab見学会

IATC見学

生産ラインの自動化支援を行う「IATC」と、未来のものづくり工場をテーマとしたスマートファクトリーに関する開発拠点「IATC-Lab.」を見学いただきました。
IATC Lab.では、「IoTで工場見える化」「協働ロボットの活用した自動化」をイメージした垂直多関節ロボットや、双腕ロボットなど8つのデモシステムを展示しています。スマート化へのヒントが得ていただく時間としました。

最後に:スマートファクトリーDayを過ごして

様々な成果事例やパネルディスカッションを通じて、改めて当団が掲げる「ものづくりDXソリューション」の可能性を感じました。

ロボットはFAのコンポーネントの1つに過ぎません。ものづくりDXの構成要素は、ロボット化、IoT化、AI活用、5G活用、その他デジタル技術の活用などです。これらを活用して、製造現場のさまざまな課題に応じてプランを立て、生産性の向上や品質の安定性を高めて利益を最大化することが、スマートファクトリーの実現につながっていくと考えています。

今後もこうした思いを胸に、日々活動を続けていきます。

ものづくりDXソリューション