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【Report②】ロボットって何?〜RoBO&Peaceオンライン・ラボ〜(6/6)大学・高専の先生登壇〜

イベントレポート2021.06.14

ロボットってなにのビジュアル

ロボットの“そもそも”を、ロボットクリエイターや大学の先生と一緒に考えるイベント「第1回 ロボットって何?」を6月5日(土)・6月6日(日)にオンライン開催しました。

本イベントはROBOMECH2021(ロボティクスメカトロニクス講演会)実行委員会とのコラボ企画で、「ロボットってなに?」をテーマに、いま、子ども達が興味を持っているプログラミングやロボット制作、ものづくり、デザイン等が、将来どのような職業や学問へつながっているのか?大学で何を学んだら、”好き”を活かせるのか?を、大学教員やロボットクリエイターと一緒に考え、子どもの「好き・楽しい」の出口を見つけるきっかけ作りを狙ったイベントです。

▼6月5日(土)開催:ロボットクリエイター高橋智隆氏登壇のレポートはこちら
https://robomech.org/2021/

▼共催:ロボティクスメカトロニクス講演会実行委員会
https://robomech.org/2021/

6月6日(日)では、大学や高専の先生をお招きし、ロボットについてのさまざまな研究や、先生方の小さい頃の話、どのようにして今の研究職についたのかについて、お話しいただきました。

今回登壇いただいた先生方の研究内容は「腕や手」「脚」「動き」「脳」「触覚」「飛行」などのカテゴリで分けることができ、その視点からロボットというものを見た時に、そのひとつひとつにたくさんの技術やノウハウ、研究が詰まっていて、その切り取り方によってもロボットに対するイメージがかなり変わってくると感じました。

私たちは「ロボット」と言うとどうしてもアニメや映画の影響もあって、二足型ロボットを想像してしまいがちなのですが、従来のイメージを払拭させられるとても新鮮な時間でした。
また、ロボットの研究を第一線でされている方々ばかりなので、当然小さい頃からものづくりが好きだったのだろうと予想していたのですが、そうではない先生もいらっしゃったり、また先生方の小さい頃は今の時代ほどプログラミングが身近にある環境ではなかったそうで、工作やラジコンといった遊びの中にロボット作りにつながる要素があったと話されていました。
でもやはり、先生方は口を揃えて、数学、物理はきちんと勉強しておいた方がいい。と言っておられましたね。 ロボット作りに限らず、ゲームのプログラミングやCG制作などでも必須となるそうです。

カクカク動くロボットはもう古い?

美しい動きをどのようにして作る? & 大阪工業大学梅田キャンパスの紹介

上田 悦子
大阪工業大学/ロボティクス&デザイン工学部ロボット工学科 教授

上田先生は、ロボットの「美しい動き」についての研究をご紹介いただきました。
生理的に怖いと感じてしまうロボットの動きを自然な動作にするために、ロボット動作と人間動作の違いを研究されています。
自由度や関節可動域の違いから人間と全く同じ動作を作るのは不可能であるが、キーになる動きの特徴を取り出してロボットに実装すれば良いのではないか?との仮説の元、人間が作り出した踊りやダンスの優美さを加えることで、カクカク動くロボットを美しく動かすための研究をされています。

上田先生講義内容1

上田先生講義内容2

ロボットの腕には、ヒミツがつまっている?!

ロボットの腕って面白い! & 研究室ビデオ

原田 研介
大阪大学大学院/基礎工学研究科 教授

原田先生は、ロボットの「腕と手」についての研究をご紹介いただきました。
人の手作業をロボットが代わりにやる、そんな未来は誰もが一度は考えたことがある未来を実現しようと研究をされています。
ただ、ロボットには「常識」が理解できないため、ひたすらディープラーニングをさせて選択肢を増やし、その中から命令に対しての行動をどのように行うのかを判断するので、ヒトがやることをロボットにやらせようと思うと、かなり大変なことであると説明されていました。
(チャットには、実はヒトってすごいんだー!と言ったコメントが溢れていました)

原田先生講義内容1

原田先生講義内容2

手になる足、足になる手を持つロボットってなんだろう?

脚にも腕にもなる腕脚統合型ロボットによる移動と作業とは?

田窪 朋仁
大阪市立大学/工学部 電気情報工学科 教授

災害・救助用に使われることを想定して作られた蜘蛛の形のようなロボット。ひっくり返っても手足がグルンと上下するので、人がいない場所や足場の悪い場所でも自力で歩くことができ、トンネルの潜り抜け、切り株上の移動などができます。また、自分で障害物を避けたり、絡まったら解くなどをして動くことができるようです。
(天井を歩行する姿は圧巻でした!)

田淵先生講義内容1

田淵先生講義内容2

ロボットの脳はどうやって作られているの?

ロボットと共に暮らす未来? & 甲南大学で生まれ活躍するロボット

梅谷 智弘
甲南大学/知能情報学部 知能情報学科 准教授

梅谷先生は、ロボットとは何なのか?という疑問から、ロボットの「知能」についての研究をされています。
私たちはロボットであると思っているものをロボットと認識している。と冒頭に熱く語られていました。具体的に言うと、自動運転をする車も無人で自動制御されていて、ロボットというくくりに入るはず。しかし、その車の開発に携わっている方は、自分がロボットを作っているとは思っていない人が多い。このように「ロボット」の範囲はとても広い。 また、ロボットが目指したものは「ヒト」であり、ヒトのようにロボットをかしこく働かせるために、情報の力をどのように使えばいいのかを日々研究されているそうです。

そのひとつの成果として、甲南大学生まれの漫才ロボット研究の取り組みについて話されていました。このロボットはボケとツッコミの2体あって、人口知能の技術を使って、ロボットがネタを創作してそれを漫才として披露するそうです。ATCにも来たことがあるようですよ。
ロボットがヒト社会とどのように共創していくのかということをメインに話されていて、大変興味深かったです。これから必要になるロボットは、一人ひとりに対応したパートナーロボットであると話されていました。

梅谷先生講義内容1

梅谷先生講義内容2

ロボットは、人のようにモノを触った感覚がわかる?

ロボットはくすぐったいと感じるのか?

池田 篤俊
近畿大学/理工学部 機械工学科 講師

ヒトには触覚と呼ばれる感覚があって、自分自身の姿勢や動き、モノを触った時の感覚を脳で理解することができます。これを触覚を知覚すると言います。人間がモノを触った時に硬い・柔らかい・ツルツルしているなどと感じるのは、触覚があるからです。これをロボットはどうなのか?について研究されています。
ヒトがどのように触覚を知覚しているのかの仕組みを理解しそれを数式化し、まったく同じことをロボットにさせることで、ロボットに触覚ができるのかという内容でした。

池田先生講義内容1

池田先生講義内容2

ロボットが空を飛ぶってアニメの世界だけのこと?

空飛ぶロボットについて学んでみよう & 奈良高専の紹介

中村 篤人
奈良工業高等専門学校/電子制御工学科 准教授

中村先生が研究されているドローンについて、お話いただきました。
ドローンはここ10年くらいで急速に普及しています。ひと昔前までは空撮にしか使われていなかったのが、近年「農薬散布」「運搬」といった私たちの生活を支える役割を果たすようになってきているそうです。風車の羽根を点検するドローンなどもあるようです。
また蛇の形のようなドローン、1円玉より軽いドローン(0.26gしかない)など、その機能や様相も非常にバラエティに富んできているようです。
中でも先生が研究されているのは「羽ばたき型ドローン」。
コントロールが難しいという側面がありまだ広く普及はされていないそうですが、エネルギー効率が高く、羽が軽いので人が当たっても怪我しにくいなどの安全性が高いようです。具体的には、シュバシコウという鳥の翼形状を模倣した翼を採用し、比較テスト結果を行ったりされているそうです。
この研究を深めていった先には、羽がついたドローンが荷物を運んできてくれるなどの未来が待っているかもしれませんね。

中村先生講義内容1 中村先生講義内容2

前回の記事はこちら
▼6月5日(土)開催:ロボットクリエイター高橋智隆氏登壇のレポート
https://robomech.org/2021/