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【Report①】ロボットって何?〜RoBO&Peaceオンライン・ラボ〜ロボットクリエイター高橋智隆氏

イベントレポート2021.06.08

ロボットクリエイター高橋智隆氏

ロボットの“そもそも”を、ロボットクリエイターや大学の先生と一緒に考えるイベント「第1回 ロボットって何?」を6月5日(土)・6月6日(日)にオンライン開催しました。

本イベントはROBOMECH2021(ロボティクスメカトロニクス講演会)実行委員会とのコラボ企画で、「ロボットってなに?」をテーマに、いま、子ども達が興味を持っているプログラミングやロボット制作、ものづくり、デザイン等が、将来どのような職業や学問へつながっているのか?大学で何を学んだら、”好き”を活かせるのか?を、大学教員やロボットクリエイターと一緒に考え、子どもの「好き・楽しい」の出口を見つけるきっかけ作りを狙ったイベントです。

▼共催:ロボティクスメカトロニクス講演会実行委員会
https://robomech.org/2021/

6月5日(土)に開催された「どうなるの?ロボットとの暮らし」では、ロボットクリエイター高橋智隆氏をお招きし、「ロボホン」のデモンストレーションや、これからロボットとの暮らしがどのようなものになっていくのか、現在のロボットクリエイターという職業に辿りついたのか等、自身の経験も踏まえてさまざまな視点でお話していただきました。
(海外からのオンライン講義でした!)

ロボットクリエイターとしての活動が始まったきっかけ

幼少期からロボットは好きだったそうですが、思春期に入りそれなりに色々なことに興味が移り変わりながらも大学は工学部を選択されたそうです。
そして趣味の一環として、自分で作ったプラモデルにモーターを入れてオリジナルロボットを作り動かしていたそうです。それをいくつかのコンテストで披露すると軒並み優勝をし一躍有名になり、優勝賞品を資金に変えて、さらに新しいロボットを作る材料を買う、ということをくり返されていました。
大学を卒業した後も学部内に自分の研究室を作り、ロボットクリエイターとして本格的に活動することになったようです。

現在までに、ブラジル、アルゼンチン、ロシア、、、など、さまざまな場所をロボットと一緒に旅をされています。
高橋さんが作られたロボットは国際宇宙ステーションに行ったこともあるそう。
今後は、自分もロボットと一緒に宇宙に行ってみたいと語っておられました。

現在開発中のロボットについて

現在は、人型ロボットのカタチをしたスマートフォン開発にも取り組まれているそうです。
機能は従来のスマートフォンと同じなのに、カタチは人型ロボット、目も口もあるし、話しかけると答えてくれる。そんな、目玉のおやじのようなスマートフォンをポケットに入れて持ち運ぶ、遊び心のあるロボットを作りたいと語っておられました。
5年後の発表を見据えて実用化を目指しているそうです。

スマホにはSiriなどの素晴らしい音声機能がついているのに、積極的に使っている人はまだまだ少ない。
一方、返答がないとわかっていながらも、私たちはぬいぐるみやペットに敢えて話しかけたりしている。それはやはり「顔」があり、目と目が合い、何かそこからコミュニケーションを図りたいと思わせられる要素があるのではないかと考えられ、今回の構想に辿り着いたそうです。

既存のスマートフォンより絶対に使いにくそうですが(高橋さんもそう言っておられました笑)、実際にロボホンのカタチをした試作のスマートフォンを見せていただくと、とても可愛くてワクワクさせられました。

ロボホン

ここからは質問コーナーで取り上げられた内容をいくつか紹介します。

ロボットを作る上で難しいことはありますか?

「ロボットは作る工程すべてが難しい。
モーターを複数入れると母体が大きくなって持ちにくかったり、小回りがききにくかったり、予算と使いたい部品やモーターとのバランスであったり、機能性も含めたデザインの落としどころをどうつけるのか。。。など複数の工程や作業が絡み合っていて、なかなか簡単にはいきません。でもこれらをひとつひとつの項目と向き合ってベストな方法を導き出していくことが非常に面白いんです。
簡単だと、やりがいにつながりませんしね。」
と語っておられました。

また「企業と組んだプロジェクトを進める際にも、基本的にロボットは一人でゼロから作ります。
複数の人が関わるので、エンジニアとの共通意識を持つためにも、最初にロボットを完成させてから、方向性をすり合わせたりなどブラッシュアップを重ねていく方が、ベストなモノづくりができるのでそうしています。」
と仰っておられました。

思い入れのあるロボットを教えてください。

「自分が作ってきたロボットは、全て思い入れがあります。
なぜなら、過去に作ってきたロボットがなくては、次のロボットが完成することはないからです。
技術や経験はつながっていますので、どのロボットも可愛い。」

「今までで70体くらいのロボットを手掛け他と思います。1体あたり大体1〜3年くらいの制作期間がありますね。
次に作るなら「水中を泳ぐロボット」を作ってみたい。」
と笑顔で話されていました。

将来ロボットを作りたいと思っています。今、どんな勉強を頑張ればいいですか?

「算数、理科、図工をメインに勉強することですね。
これらの科目は、ロボット作りに大きく関わってくる分野です。
僕も学生時代は、このあたりの科目は興味を持って取り組んでいたと思います。
加えて、海外で活動することも考えると、英語は必須だと感じています。
ロボット系の教室やワークショップなど沢山ありますので、ぜひ勉強と並行して色々なことを吸収していってほしいですね。」

「現在、テクノロジーは大きな変革期にあります。
ロボットの勉強はもちろんですが、ロボットを使うというユーザ側の経験も豊富にできるので本当に面白い時代です。
ぜひ、ロボットへのワクワクを無くさず、色々なことに遊び心を持って取り組んでほしい。」

さいごに

第一線でロボットを作られている開発者やエンジニアの方と、ロボットに興味のある子供たちが直接コミュニケーションを交わす機会が少ないので、大変刺激になったのではないかと思います。
アイローボでは今後も、小学校高学年、中学生などを対象に「好き・楽しい」の出口を見つけるきっかけづくりを行っていきます。

次の記事はこちら
【Report②】ロボットって何?〜RoBO&Peaceオンライン・ラボ〜 大学の先生たちによる登壇
https://iroobo.jp/magazine/report210614/