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vol.18〜「移動する」ということ。〜
読んでフムフム・見てフムフム2022.06.30
映画の中で移動する主人公を観て、感じたこと。
先日、「トップガン マーヴェリック」を観てきました。
●「トップガン マーヴェリック」(2022年・アメリカ)ジョセフ・コシンスキー監督
いやー、素直にめっちゃおもしろかったです。
懐かしい音楽と飛行機の爆音に痺れつつ、いい感じに年齢を重ねたトム・クルーズと教え子たちが織りなすストーリーに感動して涙しました。
そうそう、隣に座っていたおじさんが、興奮のあまり「おいおいおい!」とか「そうきたか!」とかむちゃくちゃ独り言を言うのが気になって仕方なかったのですが、まぁ、気持ちは分からないでもなかったです。
そんな私はペーパードライバーで、車もバイクも(もちろん飛行機も船も)運転できません。学生時代に苦労して(下手すぎて何度も試験に落ちた)普通免許を取ったものの、事故を起こさないように周囲に注意を払いながら一定のスピードで走る、ということがあまりにも難しくて怖くて、早々に断念してしまいました。
そのため、映画の中で、パイロットがマッハで飛ぶ戦闘機を操縦するだけではなく、ミサイルや敵を警戒しながらミッションを達成するという複数のことを同時に行っているのを見て、戦闘機ほど極限の状態でなくとも、車を運転している時も様々なことに意識を向けないといけないんだということに改めて思い至り、そりゃ私には無理だわ・・・と、思った次第です。
進化する移動手段に、法整備が追いついていない。
今は車を運転できなくても、MaaSの普及によって、便利に生活できるようになってきました。
街中にシェアサイクルのポートがそこここにあるし、「LUUP」などの電動キックボードも見かけるようになりました。
アプリの活用で決済も簡単だし、歩くのは少し遠いけれど電車に乗るほどではない距離を移動するのに便利なので、私もたまにシェアサイクルを利用することがあります。
また、交通手段が不足しがちな地域においては、免許を返納した高齢者の外出機会が減ることによって運動機能が衰えたり、生活に必要な買い物が困難になったりするといった地域課題に合わせ、新しいモビリティサービスの構築・実証に取り組む自治体なども増えてきています。
ちなみに2022年2月28日に発表されたイード社の調査レポートによると、2022年に5355億円であるMaaS国内市場は、2030年には6兆4000億円に達すると見込まれています。
<MaaSカオスマップ2021年度版>
▶︎https://boldright.co.jp/press/20210921/
これからも様々なサービスが生まれてくるであろうMaaSですが、それに伴って法整備が必要なこともあります。
例えば電動キックボードに関しては、2022年4月の道路交通法改正案の可決により、公道走行に関しての規制緩和が発表されていますが、すぐに新しい制度が始まるわけではありません。
事故なく誰もが快適に移動できる社会を実現するためには、インフラなどのハード面と、法律や人々の理解などのソフト面ともに、新しいサービスを受け入れる準備をしっかりしないといけないわけですね。
コロナ禍で気付かされた、移動=エンターテイメント?!
さて、車を運転できないとはいえ、乗り物に乗るのは好きな私。車も電車も、長時間乗ることもあまり苦ではないので、移動時間の長い旅行も大好き。延々と広がるウズベキスタンの砂漠や昼間でも薄暗く鬱蒼としたロシアの森林地帯など、どこまでも同じ風景を、何時間も走り続ける列車の中からわくわくしながら見ていたこと。カンボジアのジャングルの凸凹道をすごいスピードで走り抜けるワゴン車に乗って、お尻が痛くなったこと。
思い出すのは、そういう風景だったりします。
そう考えると、乗り物に乗って移動することは、次の目的地へ辿り着くための効率的な手段であると同時に、エンターテイメントなんですよね。
しかし、コロナ禍において「移動」が制限され、在宅でも問題なく仕事ができることが分かりました。出勤する日常が戻ってきた今も、打合せは無意識にオンライン前提で調整しようとしているし、新幹線に乗って東京出張に行かずとも大抵のことは問題なく片付くわけです。そして移動時間がなくなった分、1日の打合せの数が増え、気づけば一日中モニターの前にいるなんてことも。
移動時間は、頭を切り替えたりリフレッシュしたりする良い時間だったんだなぁと、しみじみ思いました。自分の都合で気兼ねなく移動できるって、なんて贅沢なことだったんだろう。
将来もし瞬間移動ができるようになり、一瞬で行きたいところに行けるようになったら、それはそれは便利だけれども、物事の「アソビ」の部分がどんどんなくなってしまう気がします。道に迷った時に思わぬ素敵な光景にめぐりあう、なんてことがなくなるのは、寂しいなぁと思うわけです。
これからのモビリティに関しては、効率的かつ快適な移動とエンタメとしての移動、それぞれの目的にあったサービスが生まれてきたらいいですね。
仕事や日常生活においては時間短縮をめざして。
旅行や非日常感を味わいたいときはワクワク感重視で。(もちろん両者が組み合わさっていてもOKですが)
何はともあれ「トップガン」はおもしろかったので、近々、飛行機の爆音を聞きに空港に行ってこようかな、と思っているマツイデでした。