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vol.16〜「メタバース」って結局何なの?! 現実と仮想空間の間にあるもの〜
読んでフムフム・見てフムフム2022.04.22
在宅ワークにおける「スイッチ」切り替えの難しさ
すっかり春ですね。
この4月は蔓延防止等重点措置が解除されているとはいえ、まだまだコロナ禍なので、引き続き在宅勤務の方もいらっしゃると思います。
私はおうち大好き人間で、予定のない休日はひたすら引きこもり、外に一歩も出ずに過ごしたいと思うのですが、そもそも「仕事をすることを想定していない」場所なので、在宅勤務がどうもうまくはかどりません。在宅で仕事への切り替えが難しいという声はよく聞きますし、生活に合った仕事スイッチの入れ方を見つけている人も多いようですが、皆さんはいかがでしょうか。
私の場合、最初の頃は出勤時のように着替え、コンタクトを入れて化粧をすることで切り替えていたのですが、だんだん家でコンタクトをするのが苦痛になり、化粧も最低限、服もラフになってきて、スイッチの効力が弱まってきているのを日々感じます。今や完全に在宅勤務の会社も珍しくなくなっていますが、うまく切り替えるコツがあれば、教えてほしいものです(切実)。
そういえば先日、ある仕事関連のイベントがバーチャル会場で開催されるとのことで、その日は久しぶりに予定の入っていない日曜日だったので、布団の中から参加してみました(業務外なのでお許しを)。
かわいいアバターとなった仮想空間の私は、興味のある展示を探して会場内をうろうろして、気になる点があればそこにいらっしゃる方に質問をし、発表も興味深く楽しみました。パジャマで。
おそらく誰も私がパジャマのまま布団の中から参加しているとは思うまい。でも、私が話している相手も、もしかしたらパジャマかもしれない。
「メタバース(仮想空間)」は、経済活性化の切り札となるのか?!
今、メタバースがバズワードになっています。
様々なテクノロジーを掛け合わせることであらゆることが仮想空間でできるようになると言われており、MicrosoftやMetaのような大企業が多額の投資を行い、続々と開発に参入しています。どこまで実現するのかは分かりませんが、メタバースによって人と人が接触することなく効率的に経済が回り、労働人口の不足などの課題も解決できるかもしれません。
●「レディ・プレイヤー1」(2018年・アメリカ)スティーヴン・スピルバーグ監督
「レディ・プレイヤー1」は、まさにメタバースが実現した世界です。
舞台は2045年。環境汚染で世界は荒廃し、政治も機能しておらず、人々の多くはスラム街で生活しています。その厳しく辛い現実から逃れるため、人々は「オアシス」というバーチャルリアリティの世界に入り浸っているのです。「オアシス」ではなりたい自分になり、やりたいことは何でもできるしどこへでも行ける。友情も恋愛も、結婚だってできる。
ハリデーという天才が作ったこの「オアシス」は莫大な富を産み、ハリデーの死後、「ゲームの勝者に対して「オアシス」の所有権と5000億ドル相当の遺産を渡す」という遺言が公表されます。それにより、多くのプレイヤーと、遺産の独占を狙う大企業が「オアシス」内でのゲームに挑戦しているのです。
「オアシス」の中とは対照的に、現実世界はどこまで行っても灰色。瓦礫が積み重なったような集合住宅の狭い部屋の中で、VRゴーグルをつけて歩き回っている人々の光景は、なかなかシュールなものがあります。
未来の世界が、この映画のようなディストピアにはならないと信じたいけれど、今後、メタバースが日常的に活用されるようになったら、実際はどうなるんでしょうか。
仕事は効率化され、マルチタスクでこなすようになる一方で、現実での楽しみ−例えば家族や友人とおしゃべりしながら美味しいごはんを食べるとか、デートのために気合いを入れておしゃれをするとか−が、置いてきぼりになってしまうのでしょうか。
物語では、強くかっこいい自分になりたくて「オアシス」に入り浸っているちょっと頼りない主人公が、ゲームの過程で友情と愛情を育み、現実世界の大切さにも気づいていくことになります。
そして物語の最後に、主人公が「オアシス」との向き合い方を決めるのですが、私の感想としては、普通すぎて逆に意外でした。人それぞれ感じ方が違うので、気になる方はぜひ映画を見ていただければと思いますが、映画なら、もっと尖ったオチでも良かったな。
メタバースは、逃げ場所ではない。休憩所やコミュニケーションツールとして。
とはいえ、その普通の結末から感じたのは、メタバースは「現実から逃げる場所」ではなく、現実世界をより便利にしたり、より楽しくしたりする手段として存在してほしいということ。私もストレス解消のために何時間もゲームをしたりするので、現実逃避の手段として活用できるのはよく分かるけれど、あくまで「現実ありき」で考えたい。
現実で戦うための休憩場所であり、現実の人間関係を円滑にするためのツールであり、効率化する手段。そして他人と関わる以上、そこには「社会」があること。これは、自分に対する戒めでもあります。
どっぷりハマると、ひたすらパジャマで現実を放棄してしまいそうなので、「現実の自分を楽しみつつ、メタバースでは違う自分になって冒険する」という気持ちで臨みたい。
2025年大阪・関西万博に向けて、都市連動型メタバース「バーチャル大阪」も開設されています。どのように活用されていくのか、これからの世界がどうなっていくのか、楽しみです。
さてこの映画、80年代カルチャーへのオマージュが満載なのも見どころです。映画のオープニングで、ディストピア感満載の街を背景に、Van Halenの「Jump」のイントロが流れたのにはテンションが上がりました。他にも、「シャイニング」や「Back to the Future」、AKIRAやガンダムなど日本のコンテンツも盛り沢山。
探してみるのも面白いですよ。