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vol.11~不完全さが個性を作る、故に愛おしい〜
読んでフムフム・見てフムフム2021.09.24
障害≒個性?!
パラリンピックで感じたこと。
いつの間にか夏が終わっており、一体私は何をしていたんだろう・・・と軽く呆然としている今日この頃です。
やっぱりこの夏の象徴的な出来事といえば、東京2020オリンピックなんですかね。
私はあまりスポーツに興味がなく、オリンピックもワイドショーで盛り上がっているのをちらりと見たくらいなのですが、たまたまパラリンピックの開会式をテレビで見て、演者のあまりのかっこよさに衝撃を受けました。そこに至るには様々な葛藤や苦悩、身体的な苦労があったと思うのですが、見事に障害を個性として魅せており、ただただ美しかった。
そう、「個性」。
かくいう私も大腸を全摘している障害者の端くれで、日常生活で不便なことは色々とありますが、この身体も経験も、今は、私自身を形成する大切な個性だと思っています。でもそれは特別なことではなく、誰しもいつどうなるか分からない世の中において、五体満足であることのほうが奇跡的で、大小はあるにせよなんらかの病気や障害を持っているのが普通な気がするんです。
それってもう、単なる個性なんじゃないかな。
「アンドリューNDR114(原題: Bicentennial Man)」(1999年アメリカ)
監督:クリス・コロンバス
・・・なんてことをぼんやり考えていると、「不完全さが個性を作る」という言葉を思い出しました。
アイザック・アシモフの小説「バイセンテニアル・マン(邦題:二百周年生きた男)」を原作とした映画「アンドリューNDR114」に出てくるセリフです。
そう遠くない未来、リチャード・マーティンによって購入された人型家事ロボット「NDR114」は、アンドリューと名付けられ、家事や子守を行うのですが、そのうち芸術的な才能を発揮するようになります。
アンドリューの才能を認めたリチャードは、アンドリューに時計作りの仕事を与え、銀行口座を作らせます。自分の力でお金を稼げるようになったアンドリューは、人間の歴史を学び、人間としての自由を得ることを望むようになります。
ある時、長い旅に出たアンドリューは、アンドロイドを人間そっくりにする研究をしているルパート・バーンズと出会います。アンドリューは、研究資金やアイデアを彼に提供し、人間そっくりの身体を手に入れます。表情が良く分かる人工皮膚、痛みを感じる神経組織、消化ができる人工臓器・・・。頑丈なロボットの体から、壊れやすい人間の体へ。
アンドリューの“顔”を作る時、ルパートがアンドリューに言います。
「コツは不完全な顔に仕上げること。」「不完全さが個性を作るんだ。」
個性を手に入れ、長い旅を終えたアンドリューには愛する人ができます。二人は結婚を望むのですが、ロボットは人間として認められないという理由から、結婚は叶いません。アンドリューは、ただ人間として受け入れられることを願い、人類法廷で訴えるのです。
アンドリューの行動を我儘と受け取る人もいるかもしれません。でもアンドリューが、ロボットである自分がどう生きていくかを考え、自分にできることを精一杯やり、自分と愛する人の幸せのために突き進む姿はすばらしい。
私たちの人生においても、どうにもならないことや努力では解決できないことが存在するけれど、病気や障害があろうが、男だろうが女だろうがLGBTQだろうが、それぞれの状況において生き方を選択し、それぞれの個性に合った役割を担い、お互いを尊重できる世の中であればいいな。
私も18歳で発病し手術を繰り返していたので、なんで私がこんな目に遭うんだろうと思い悩んだ時期もあるけれど、今は自分の人生を愛しているし、幸せだと思う。だから、周りの大切な人たちにもそう思っていてほしい。
さて、アンドリューは結局、人間として受け入れられるのでしょうか。
ラストは号泣モノです。
アンドリュー役の今は亡きロビン・ウィリアムズも、とてもチャーミングで素敵。ちょっと元気がない時や、気持ちがささくれ気味の時などに観るのにオススメです。