iRooBOマガジン

vol.4 もし、自分のコピーロボットがあったら?

読んでフムフム・見てフムフム2019.08.15

こんにちは。事務局マツイデです。

このコーナーは、わたくしマツイデが、ロボット関連の本や映画、見たいロボットや会いたい人など、読んだり見たりしたことを徒然なるままに綴る、ふわっとゆるっと読んでいただくコーナーです。お仕事の合間にでもお付き合いくださいね。

「ぼくのニセモノをつくるには」 ヨシタケ シンスケ著 

宿題や掃除など、やりたくないことをやってくれるお手伝いロボットを購入したぼく。誰にもバレないようにぼくのニセモノとしてロボットに動いてもらうには、ぼくそっくりになってもらう必要があるので、ぼくはロボットに「ぼく」について教えることになる。 名前、生年月日などの基本情報。好きなもの、嫌いなもの。できること、できないこと。「みんなから見たぼく」はどんな感じ?「自分らしさ」ってなんだっけ?
・・・と、本書は、ロボットを通じて、自分のことを知るための絵本である。

誰しも一度は夢見たことがあるだろう、自分のコピーロボットがいたらなぁと。
ただそのために、自分について掘り下げていくのはなかなか厄介だ。特にこのトシになると尚更である。なぜならば、薄々分かってはいるけれど、認めたくない現実が増えていくから。
例えば外見だと、「うわ、こんなに皺があるなんて!」とか(毎日鏡を見ていても、直視したくない現実なのだ)。そして外見だけでなく、友人や職場の同僚、後輩など、様々な立場によって「みんなから見た私」がいると思うが、知りたい反面、知るのが怖い。

昔の話だが、私は一度、上司が書いた私に対する業務評価シートをうっかり見てしまったことがある。そのコメント欄に、「仕事はしっかりやっているが、言葉遣いと態度が悪い」と書かれていたことを今でも忘れない・・・。なんとなくの自覚はあったものの、はっきりと思い知るのはなかなかなショックだった(まぁ、自分が悪いのだが)。とはいえ、そこから自分の悪いところを反省し、改善していけばよいのだから、結局のところ自分について知ることは、いくつになっても重要なのだろう。

さて、大阪大学の石黒教授は、ご自身とそっくりの外見を持つ遠隔操作型アンドロイド「ジェミノイドHI4」等を開発されている。頭部は石膏でご本人の顔の形を写し取って製作されており、まさに石黒教授のコピーと言える。石黒研究室では、このアンドロイドを用いて「人の存在感とは何か」といった研究に取り組んでおられるが、目の前にいるのが石黒先生本人でなくアンドロイドだと分かっていても、下手なことはできない・・・と思ってしまう。例え遠隔操作しているのが研究室の学生さんだったとしても、ドキドキ感は拭えないのが不思議だ。

また、株式会社オリィ研究所が開発している分身ロボット「OriHime」は、距離や身体的問題によって行きたいところに行けない人が、働いたり学んだりすることを実現するためのロボットである。分身ロボットを使って社会参画が可能になるというのは、テクノロジーの使い方としても本当に素晴らしいと思う。

この絵本のように自分のコピーロボットまでは難しいとしても、今後、代理ロボットを使った様々なサービスが生まれる可能性がある。この絵本、オチもかわいいので、夏休みにお子さんと一緒に、(もちろんお一人ででも)、自分を考えるキッカケとして、また、こんな代理ロボットサービスがあったらいいな、なんてことを思いながら、読んでみてはいかがだろうか。

余談だが、「代理ロボット」で思い出すのは、2009年のアメリカ映画「サロゲート」(監督:ジョナサン・モストウ)だ。人間は自宅に籠って代行ロボット「サロゲート」を遠隔操作し、社会生活の全てを「サロゲート」に代行させているという近未来が舞台である。詳しくは書かないが映像がなかなか衝撃的で、こちらも一見の価値アリ。

「ぼくのニセモノをつくるには」詳細

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