iRooBOマガジン

Vol.2 日本のものづくりの現状とIATC

フロントランナートーク2019.05.07

各分野の第一線で活動している方にお話を伺う「フロントランナートーク」

第2回目は、FA(Factory Automation)分野で活動している
坂本 俊雄 氏(i-RooBO Network Forum副会長/IATCプロデューサ・株式会社ブリッジソリューション代表取締役)によるコラムです。

坂本氏は長年、生産や研究開発の現場で使われる制御、計測、監視などの
システムを多く手がけ、機械、電気・電子といったハードウェアからソフトウェアまで
非常に幅広い知識とシステムインテグレーション力で数多くの実績があります。
また、数々のロボット開発プロジェクトにも関わっており、
ロボットやロボットテクノロジーを利用したシステムの開発や
コンサルティングを行ってきています。
他にも経済産業省の委託事業などでコーディネーターを務めていたり、
2016年12月大阪南港ATCに開設した次世代FAの拠点
「IATC(Industrial Automation Technology Center)」の立ち上げを行うなどの取組みを行っています。

今回は坂本氏が見る、日本のものづくりの現状に迫ります。

日本のものづくりの現状とIATC

坂本 俊雄 氏
i-RooBO Network Forum副会長/IATCプロデューサ
株式会社ブリッジソリューション代表取締役

日本のものづくり産業は戦後の高度経済成長期を経て1980年代には
「ジャパン・アズ・ナンバー1」とも言われた絶頂期を迎え世界を席巻しました。

そのころの主力産業は大企業中心の自動車、電機、半導体であり、
これらの製造現場での産業用ロボットの利活用を始めとする
高度な自動化が飛躍的に進んだ成果と言ってもいいでしょう。

その後、いくつかの経済危機や長期にわたる円高などによってものづくりの現場はアジア諸国へ流出し、
そして今や電機、半導体産業の主導権は完全にアジア諸国に奪われた状況になっています。
最近では一部工場の国内回帰の動きもみられる中、
この20年近くの間に失われた生産技術力の低下の影響は大きく、
大企業ですら自社工場の自動化やロボット導入に戸惑っているという話を聞きます。

また、中小製造業においても現場のベテラン社員の高齢化、退職によって生産設備の維持管理すらおぼつかず、
自動化の実施まで手が回っていないのが実情です。

その一方で今は企業規模や業種にかかわらず深刻な人手不足に陥っており、
現場の自動化やロボット導入をますます推進していかなければならない状況です。
にもかかわらず、それら工場の自動化を支えるFA(Factory Automation)技術者も不足しているのが実情でその育成が急がれます。

このような状況の中、2016年に大阪南港ATCに開設されたIATC(Industrial Automation Technology Center)では、
学習用の生産設備や人協働型ロボットの実機を常設しており、
FA技術者の育成やロボットSIerの連携、工場の自動化支援などの先進的な取り組みを行っています。

これからますますIATCを拠点に大阪・関西のものづくり産業の底上げに貢献していきたいと思います。

終わりに

今回は概論的な内容で、FA業界の現状についてお話いただきました。いかがでしたでしょうか?
また機会があれば協働ロボットやロボットSIerなど個別のテーマでコラムを寄稿いただければと思っています。
では、次回のフロントランナートークもお楽しみに!